薬剤師の時給は2,845円|145職種中14位、経験では上がらない
薬剤師の時給を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から145職種すべて並べ直して確認すると2,845円で14位でした。短時間労働者全体の2.01倍ですが、経験0年と15年以上の差は41円しかありません。
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この記事でわかること
- 薬剤師の時給は2,845円で、145職種中14位
- 短時間労働者全体の平均1,412円の2.01倍、看護師1,849円の1.54倍
- 経験0年と15年以上の差は41円。正社員の年収が247万円の幅を持つのとは対照的
求人サイトで「薬剤師 時給」を調べると、募集ごとにばらばらの金額が並びます。求人票の金額は出す側が提示した希望額であって、実際にいくら支払われているかとは別です。
そこで厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、短時間労働者の145職種すべての時給を抜き出して並べ直し、薬剤師が実際にどの位置にいるのかを確認しました。あわせて経験年数・雇用形態でどう変わるかも集計しています。
本記事の調査・評価基準
- 調査対象
- 短時間労働者145職種、男女計、企業規模10人以上
- 数値の確認日
- 令和5年(2023年)調査
- 評価項目
- 1時間当たり所定内給与額、労働者数
- 順位の決め方
- 145職種の「1時間当たり所定内給与額」を降順に並べて順位を付けた。所定内の金額のため残業代・通勤手当は含まない。役職手当の有無など職種内のばらつきは平均に吸収されている
- 編集方針
- 当サイトは広告収益で運営していますが、報酬額の多寡は順位に影響させていません。 上記の評価項目のみで順位を決定しています。
薬剤師は145職種中14位、2,845円
まず全体の中での位置です。上位の顔ぶれと、医療系職種の位置をあわせて示します。
| 順位 | 職種 | 時給 |
|---|---|---|
| 1 | 医師 | 12,225円 |
| 2 | 歯科医師 | 8,133円 |
| 3 | 航空機操縦士 | 8,048円 |
| 4 | 大学教授(高専含む) | 7,822円 |
| 5 | 獣医師 | 7,553円 |
| 9 | 法務従事者 | 4,317円 |
| 13 | 管理的職業従事者 | 3,293円 |
| 14 | 薬剤師 | 2,845円 |
| 15 | 臨床検査技師 | 2,649円 |
| 21 | 診療放射線技師 | 2,450円 |
| 22 | 助産師 | 2,355円 |
| 26 | 理学療法士、作業療法士など | 2,167円 |
| 39 | 看護師 | 1,849円 |
| 46 | 歯科衛生士 | 1,703円 |
| 60 | 准看護師 | 1,543円 |
| 95 | 保育士 | 1,317円 |
| 103 | 介護職員(医療・福祉施設等) | 1,272円 |
| 127 | 販売店員 | 1,166円 |
薬剤師の上位には、医師・歯科医師・獣医師・大学教員・航空機操縦士といった長い養成課程や難関の免許を前提とする職種が並びます。医療系職種の中では、医師・歯科医師・獣医師に次ぐ4番目の位置です。
短時間労働者全体の2.01倍、看護師の1.54倍
倍率で見ると差の大きさがはっきりします。
| 比較対象 | 時給 | 薬剤師との倍率 |
|---|---|---|
| 短時間労働者全体(産業計) | 1,412円 | 2.01倍 |
| 看護師 | 1,849円 | 1.54倍 |
| 介護職員(医療・福祉施設等) | 1,272円 | 2.24倍 |
| 保育士 | 1,317円 | 2.16倍 |
短時間労働者全体の平均1,412円は、約1,251万人分を集計した数字です。薬剤師の2,845円はその2.01倍にあたります。
医療職の中で比べても差があります。看護師の1,849円に対して薬剤師は1.54倍です。常勤の年収では看護師と薬剤師の差はここまで大きくありませんが、短時間勤務にすると差が開くという構造が見えます。
この順位は上がってきた位置にある
現在の2,845円は、もともとこの水準だったわけではありません。2020年は2,349円で、4年間で21.1%上昇しています。同じ期間に短時間勤務の薬剤師は33,260人から44,540人へ33.9%増えました。
待遇と働く人数が同時に伸びている領域だということです。年ごとの動きと年収への換算は、時給を軸にした別の記事で詳しく扱っています。
経験年数で時給はほとんど上がらない
もうひとつ、時給で働くうえで知っておきたい特徴があります。
| 経験年数 | 時給 | 平均年齢 | 労働者数 |
|---|---|---|---|
| 0年 | 2,596円 | 36.9歳 | 約2,520人 |
| 1〜4年 | 2,527円 | 45.0歳 | 約2,890人 |
| 5〜9年 | 4,397円 | 44.7歳 | 約6,230人 |
| 10〜14年 | 2,398円 | 45.5歳 | 約5,410人 |
| 15年以上 | 2,637円 | 58.1歳 | 約27,480人 |
経験0年の2,596円と15年以上の2,637円の差は41円しかありません。5〜9年の4,397円だけが突出していますが、この階級は労働者数が約6,230人と限られており、高単価の少数例に平均が引っ張られている可能性が高いため、傾向としては読まないほうが安全です。
読み取れるのは、短時間勤務の時給は経験年数に素直に連動しないということです。正社員の年収が経験0年373.7万円から15年以上621.0万円まで約247万円の幅を持つのとは対照的です。
あわせて読みたい薬剤師の年収は543万円|40代で下がる理由をデータで検証薬剤師の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から独自に集計しました。年代別に見ると35〜39歳でピークを迎えたあと40代で下がること、企業規模が小さいほど年収が高いことがわかります。つまり時給は「これまで何年やってきたか」より、どの企業規模のどの時間帯に入るかで決まりやすい、ということになります。経験を積めば上がると期待して同じ職場に留まるより、条件の良い枠を探すほうが単価に効きます。
では、何で決まるのか
経験年数で決まらないなら、何が時給を動かしているのか。集計できた要因を効果の大きい順に並べます。
| 要因 | 差 | 内訳 |
|---|---|---|
| 勤務先の企業規模 | 1,490円 | 1,000人以上3,687円 / 10〜99人2,197円 |
| 調査年(4年間) | 496円 | 2020年2,349円 → 2023年2,845円 |
| 経験年数 | 41円 | 0年2,596円 / 15年以上2,637円 |
| 性別 | 6円 | 男性2,840円 / 女性2,846円 |
企業規模の1,490円が、他の要因を桁で引き離しています。 経験年数の41円、性別の6円は誤差の範囲です。
同じ「薬剤師の時給」でも、大手チェーンの枠に入るか中小の薬局に入るかで2,197円から3,687円まで動きます。求人票の時給がばらつく主な理由はここで、経験や年齢ではありません。
企業規模で1,490円変わる理由はこちら薬剤師パートの時給は勤務先の規模で1,490円違う薬剤師のパート時給を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から企業規模別に集計しました。1,000人以上は3,687円、10〜99人は2,197円で1,490円の差。正社員の年収とは逆に、大手のほうが高くなっています。正社員の時給換算は2,356円
比較の基準として、正社員を時間あたりに直すといくらかも出しておきます。
| 時給 | 算出 | |
|---|---|---|
| 短時間勤務 | 2,845円 | 統計の実額 |
| 正社員(換算) | 2,356円 | 所定内給与388,700円 ÷ 165時間 |
| 正社員(賞与込み) | 2,744円 | 賞与76.87万円を年間労働時間で按分 |
賞与を入れても2,845円 > 2,744円で、時間あたりでは短時間勤務が上回ります。ただしこれは単価の話で、年間の総額では労働時間が半分なので逆転します。
なおこの統計は短時間労働者をまとめて集計しており、派遣・パート・単発を区別していません。 2,845円はその全体の平均です。働き方ごとの内訳は、それぞれの記事で条件を変えて試算しています。
まとめ
- 薬剤師の時給2,845円は、短時間労働者145職種中14位
- 短時間労働者全体の平均1,412円の2.01倍、看護師1,849円の1.54倍
- 2020年2,349円から2023年2,845円へ4年で21.1%上昇、働く人も33.9%増加
- 経験0年と15年以上の差は41円。正社員の年収が247万円の幅を持つのとは対照的
- 時給を最も大きく動かすのは企業規模で、差は1,490円
高い時給が出ている領域であることは統計で確認できます。そのうえで単価を上げたいなら、勤続を重ねるより勤務先の条件を比べるほうが近道です。