薬剤師で年収1000万は0.75%|133人に1人という現実

薬剤師の賃金分布を厚生労働省の統計から集計すると、年収1000万円に届くのは全体の0.75%、約133人に1人でした。上位10%でも701万円です。到達可能性を分布データで検証しました。

最終更新 2026年7月28日 公開 2026年7月28日 執筆 編集部

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この記事でわかること

  • 年収1000万円に届く薬剤師は全体の0.75%、10万7,830人中およそ811人(133人に1人)
  • 上位10%の水準でも701.1万円。1000万円は上位10%の外側にある
  • 年収1157万〜1517万の層は統計上ゼロで、その上に1517万円以上が430人いる

「薬剤師で年収1000万円は可能か」という問いに、可能・不可能で答えても意味がありません。何%の人が到達しているのかが分かれば、目標として現実的かどうかを自分で判断できます。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、薬剤師の賃金を階級別に分けた分布データがあります。ここから逆算しました。

本記事の調査・評価基準

調査対象
薬剤師(職種小分類コード1124)、男女計、企業規模10人以上、10万7,830人
数値の確認日
令和5年(2023年)調査
評価項目
所定内給与額の階級別労働者数、分位数、年間賞与その他特別給与額
順位の決め方
年収1000万円に必要な所定内給与額を「(1000万円 − 年間賞与76.87万円) ÷ 12 = 月額76.9万円」と逆算し、これを上回る階級の労働者数を合計。階級内は一様分布と仮定して按分しています
編集方針
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年収1000万円は0.75%、133人に1人

年間賞与の平均76.87万円を前提にすると、年収1000万円に必要な所定内給与は月額76.9万円です。

この水準を上回る薬剤師は、10万7,830人中約811人。割合にして0.75%、およそ133人に1人です。

不可能ではありませんが、平均的なキャリアの延長線上にはありません。

上位10%でも701万円

分布全体を見ると、1000万円がどれだけ外れた位置にあるかがはっきりします。

上位10% 上位10%:701.1万円 701.1 万円 上位25% 上位25%:603.5万円 603.5 万円 中位数 中位数:521.3万円 521.3 万円 下位25% 下位25%:447.2万円 447.2 万円 下位10% 下位10%:402.5万円 402.5 万円
薬剤師の年収分布。所定内給与の分位数に年間賞与76.87万円を加えて年収換算したもの。上位10%でも701.1万円にとどまる。 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年より編集部が算出
位置所定内給与(月額)年収換算
上位10%52.0万円701.1万円
上位25%43.9万円603.5万円
中位数37.0万円521.3万円
下位25%30.9万円447.2万円
下位10%27.1万円402.5万円

上位10%に入っても701.1万円です。 1000万円はさらにその外側、上位0.75%の領域にあります。

平均543万円は実態より高く出ている

ここで気づくことがあります。よく引用される薬剤師の平均年収は543.3万円ですが、中位数は521.3万円です。

22万円の差は、分布が右側に歪んでいるために生まれます。ごく少数の高額所得者が平均を押し上げているため、「平均以下」の人が半数より多くなります。 平均値と比べて落ち込む必要はありません。

年収の全体像と年代別の推移はこちら薬剤師の年収は543万円|40代で下がる理由をデータで検証薬剤師の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から独自に集計しました。年代別に見ると35〜39歳でピークを迎えたあと40代で下がること、企業規模が小さいほど年収が高いことがわかります。

1000万円台には、ほとんど誰もいない

分布の上端を細かく見ると、奇妙な形が現れます。

所定内給与(月額)年収換算人数
60〜70万円797〜917万円4,740人
70〜80万円917〜1,037万円720人
80〜90万円1,037〜1,157万円160人
90〜120万円1,157〜1,517万円0人
120万円以上1,517万円以上430人

年収1,157万〜1,517万円の階級に、該当者が1人も記録されていません。 そして、その上の1,517万円以上には430人がいます。

つまり薬剤師の年収は、900万円あたりから急速に人数が減って一度途切れ、そこから離れた場所に別のグループが存在するという形をしています。

この430人は、調剤薬局や病院の勤務薬剤師の延長というより、製薬企業の管理職層や経営に関わる立場など、性質の違う職務に就いている層だと考えられます。

なお階級の人数がゼロという記録は、実際に該当者がいない場合と、標本に含まれなかった場合の両方がありえます。「その年収帯の薬剤師が世の中に存在しない」という意味ではありません。 ただ、統計に現れないほど少ないことは確かです。

現実的な目標はどこか

データから言えることを整理します。

1000万円を目標に置くと、99.25%が達成できない設定になります。 それより、到達している人が一定数いる水準を見るほうが実務的です。

到達水準年収どこにいる人か
上位10%701.1万円分布の上位1割
役職者の平均663.9万円薬剤師の16.8%
55〜59歳の平均675.3万円年代別の最高値
企業規模10〜99人617.6万円中小企業の平均

600万円台後半から700万円が、統計上「届く人がそれなりにいる」上限です。役職に就く、企業規模を変える、年齢を重ねる——どの経路をたどっても、行き着く先はこのあたりに収束します。

役職に就いた場合の年収はこちら管理薬剤師の年収を統計で検証|役職に就くと145万円上がる薬剤師の年収を「役職者を除く」統計と比較すると、役職に就いている薬剤師の年収は663.9万円、役職なしは518.9万円で145万円の差がありました。役職者は全体の16.8%しかいません。

1000万円を狙うなら、勤務薬剤師の枠組みそのものを出る必要があります。製薬企業への転身、独立、あるいは複数の収入源を組み合わせるといった選択です。それは「年収を上げる」ではなく「働き方を変える」話になります。

まとめ

  • 年収1000万円に届く薬剤師は0.75%、10万7,830人中約811人(133人に1人
  • 上位10%でも701.1万円。1000万円はその外側
  • 平均543.3万円に対し中位数は521.3万円。平均は少数の高額所得者に押し上げられている
  • 年収1,157万〜1,517万円は統計上ゼロで、1,517万円以上に430人。分布が途切れている
  • 統計上「届く人がそれなりにいる」上限は600万円台後半〜700万円

年収1000万円が不可能だとは言いません。ただし目標に置くなら、それが上位0.75%を狙う設定だと分かったうえで決めたほうが、途中で消耗しません。

出典

  1. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 職種(小分類)_分布特性値(e-Stat)
  2. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 一般_職種(小分類)(e-Stat)
  3. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」