病院薬剤師の年収は581.1万円|薬局より101.7万円高い

病院薬剤師の年収を最新の第25回医療経済実態調査で確認しました。一般病院の薬剤師は給料+賞与で581.1万円、保険薬局は479.5万円。「病院は薬局より安い」という通説とは逆で、差の約6割は賞与から生まれています。

最終更新 2026年8月17日 公開 2026年8月17日 執筆 編集部

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この記事でわかること

  • 一般病院に勤める薬剤師の給料+賞与は581.1万円。保険薬局の薬剤師は479.5万円で、病院のほうが101.7万円高い
  • 差の59.8%は賞与から生まれている。給料の差は40.8万円だが、賞与の差は60.8万円ある
  • 前年度の差91.0万円から10.6万円広がった。病院が2.1%上がる一方、薬局は0.3%しか上がっていない

「病院薬剤師は薬局より給料が安い」というのは、この業界でよく共有されている前提です。ただし、公的な調査で確認すると平均では逆になります。

この記事では、厚生労働省の中央社会保険医療協議会が実施する医療経済実態調査から、一般病院と保険薬局に勤める薬剤師の給料・賞与を取り出して並べました。使ったのは令和7年11月に公表された第25回で、対象は令和6年度(2024年度)の実績です。

本記事の調査・評価基準

調査対象
一般病院および保険薬局に勤務する常勤の薬剤師。全国。一般病院は集計1、保険薬局は集計2の値
数値の確認日
第25回医療経済実態調査(令和7年11月26日公表/対象は令和6年度=2024年度)
評価項目
平均給料年(度)額、賞与、給料+賞与、開設者分類、前年度からの伸び率
順位の決め方
報告書の表「職種別常勤職員1人平均給料年(度)額等」から、職種「薬剤師」「管理薬剤師」の値を編集部が抽出して比較した。年齢構成や勤続年数の違いは調整されていないため、同じ人が転職した場合の増減を示すものではない
編集方針
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病院581.1万円、薬局479.5万円

まず、勤務先の種類ごとの金額です。

保険薬局・管理薬剤師 保険薬局・管理薬剤師:725.4万円 725.4 万円 一般病院・薬剤師 一般病院・薬剤師:581.1万円 581.1 万円 一般病院・看護職員 一般病院・看護職員:540.8万円 540.8 万円 一般病院・医療技術員 一般病院・医療技術員:481.6万円 481.6 万円 保険薬局・薬剤師 保険薬局・薬剤師:479.5万円 479.5 万円 一般病院・事務職員 一般病院・事務職員:437.9万円 437.9 万円 保険薬局・事務職員 保険薬局・事務職員:271.7万円 271.7 万円
勤務先の種類別に見た常勤職員1人あたりの給料+賞与(令和6年度)。保険薬局の管理薬剤師が最も高い。 出典:厚生労働省「第25回医療経済実態調査」より編集部が集計
勤務先・職種給料賞与給料+賞与
保険薬局・管理薬剤師643.9万円81.4万円725.4万円
一般病院・薬剤師465.4万円115.7万円581.1万円
一般病院・看護職員435.6万円105.2万円540.8万円
一般病院・医療技術員385.6万円96.0万円481.6万円
保険薬局・薬剤師424.6万円54.9万円479.5万円
一般病院・事務職員352.7万円85.2万円437.9万円

一般病院の薬剤師581.1万円に対して、保険薬局の薬剤師は479.5万円。差は101.7万円で、病院のほうが高いことになります。

なお、医療技術員(診療放射線技師・臨床検査技師・理学療法士などを含む区分)は481.6万円で、保険薬局の薬剤師479.5万円とほぼ同じ水準です。

差の約6割は賞与から出ている

この101.7万円がどこから生まれているかを分けると、内訳ははっきり偏っています。

項目一般病院保険薬局差への寄与
給料(年額)465.4万円424.6万円+40.8万円40.2%
賞与115.7万円54.9万円+60.8万円59.8%
合計581.1万円479.5万円+101.7万円100%

給料そのものの差は40.8万円で、月あたりにすると3.4万円です。差の6割は賞与にあります。 病院の賞与115.7万円に対し、薬局は54.9万円と半分以下です。

年収に占める賞与の割合で見ると、病院19.9%、薬局11.4% と設計そのものが違います。これは求人票の見え方にも影響します。月給だけを並べて比べると差は小さく見え、年収まで含めると開くという構造になっているためです。

差は1年で10.6万円広がった

同じ調査には前年度(令和5年度)の値も載っています。2年分を並べると、差が縮まっていないことが分かります。

区分令和5年度令和6年度伸び率
一般病院・薬剤師569.2万円581.1万円+2.1%
保険薬局・薬剤師478.2万円479.5万円+0.3%
91.0万円101.7万円+10.6万円

病院が2.1%上がる一方、薬局は0.3%しか上がっていません。 1年で差が10.6万円広がった計算です。

保険薬局の管理薬剤師も725.4万円で前年度比+0.1%と、ほぼ横ばいでした。薬局側は職位を問わず伸びが小さい年だったことになります。

病院の中でも87.1万円の幅がある

「病院薬剤師」とひとくくりにされますが、開設者によって水準は変わります。

開設者給料賞与給料+賞与
公立478.0万円148.7万円626.7万円
公的474.5万円129.4万円603.9万円
国立477.2万円125.6万円602.8万円
その他449.8万円100.6万円550.4万円
医療法人455.3万円84.3万円539.6万円
(全体)465.4万円115.7万円581.1万円

最も高い公立626.7万円と、最も低い医療法人539.6万円で 87.1万円の差 があります。社会保険関係法人と個人は回答施設数が少なく、今回は秘匿されているため表から除いています。

ここでも効いているのは賞与です。給料の幅は449.8万〜478.0万円の28.2万円に収まっているのに対し、賞与は84.3万〜148.7万円と64.3万円の幅があります。 給料表そのものは開設者間でそれほど変わらず、賞与の支給水準で差がついている形です。

公立・公的・国立といった公的性格の強い開設者はいずれも賞与125万円以上で、医療法人の84.3万円と40万円以上開いています。

公務員薬剤師との比較はこちら公務員薬剤師の年収615万円の中身|差はボーナス75.8万円よく見る「公務員薬剤師の年収615万円」は薬剤師単独の数字ではありません。令和6年地方公務員給与実態調査を編集部が団体区分別に組み直し、民間の薬剤師と月額・賞与に分けて比べた結果をまとめます。

この数字の読み方に注意すること

3点、先に断っておきます。

1. 年齢構成が調整されていません。 病院と薬局では在職者の年齢や勤続年数の分布が違います。この101.7万円は「同じ人が病院に移れば101.7万円増える」という意味ではなく、それぞれの集団の平均値の差です。

2. 常勤のみの数字です。 パート・非常勤は含まれません。薬局には短時間勤務の薬剤師が多く、その層は集計の外にあります。

3. 給料の定義が広めです。 報告書の注記では、給料には扶養手当・時間外勤務手当・役付手当・通勤手当など、労働の対価として支給されたすべてが含まれるとされています。基本給だけの数字ではありません。

参考までに、賃金構造基本統計調査(令和5年)の薬剤師全体の平均年収は543.3万円です。ただしこちらは所定内給与のみで残業代を含まないため、定義が違います。2つの調査の金額を直接引き算しないでください。

あわせて読みたい薬剤師の年収は543万円|40代で下がる理由をデータで検証薬剤師の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から独自に集計しました。年代別に見ると35〜39歳でピークを迎えたあと40代で下がること、企業規模が小さいほど年収が高いことがわかります。

病院を選ぶかどうかの判断材料

病院薬剤師が向いている人

  • 賞与の比重が高い給与設計でも問題ない(病院は年収の19.9%が賞与)
  • 公立・公的・国立の求人を検討できる。この層は賞与が125万円以上ある
  • チーム医療・病棟業務・薬物療法への関与など、業務内容を給与より優先したい
  • 当直・オンコールを含む勤務形態を受け入れられる

向いていない人

  • 短期間で年収を上げたい。管理薬剤師(保険薬局725.4万円)のほうが到達額は144.2万円高い
  • 月給の額面を重視している。差の6割は賞与にあるため、月給では差が出にくい
  • 通勤圏に医療法人の病院しかない。この区分は539.6万円で、薬局平均479.5万円との差が60.1万円まで縮む
  • 勤務時間を自分で調整したい。常勤前提の数字であり、短時間勤務は集計に含まれていない

年収だけで比べるなら、到達額が最も高いのは保険薬局の管理薬剤師725.4万円です。病院薬剤師581.1万円との差は144.2万円あります。ただしこれは役職に就いた場合の数字なので、同じ土俵の比較ではありません。

役職に就いた場合の差はこちら管理薬剤師の年収を統計で検証|役職に就くと145万円上がる薬剤師の年収を「役職者を除く」統計と比較すると、役職に就いている薬剤師の年収は663.9万円、役職なしは518.9万円で145万円の差がありました。役職者は全体の16.8%しかいません。

まとめ

  • 一般病院の薬剤師は給料+賞与で581.1万円、保険薬局の薬剤師は479.5万円。病院のほうが101.7万円高い(令和6年度)
  • 差の59.8%は賞与から生まれている(給料の差40.8万円に対し、賞与の差60.8万円)
  • 差は前年度の91.0万円から10.6万円広がった。病院+2.1%に対し薬局は+0.3%
  • 病院の中でも開設者で87.1万円の幅がある。公立626.7万円が最高、医療法人539.6万円が最低
  • 到達額が最も高いのは保険薬局の管理薬剤師725.4万円

「病院は安い」という前提は、少なくとも常勤の平均では成り立ちません。ただし年齢構成が揃っていない点と、給料の定義が広い点は、そのまま受け取らずに読んでください。

出典

  1. 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」令和7年11月26日公表
  2. 厚生労働省 医療経済実態調査(医療機関等調査)
  3. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 一般_職種(小分類)DB(e-Stat statsDataId 0003426315)