薬剤師パートの時給は勤務先の規模で1,490円違う
薬剤師のパート時給を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から企業規模別に集計しました。1,000人以上は3,687円、10〜99人は2,197円で1,490円の差。正社員の年収とは逆に、大手のほうが高くなっています。
この記事でわかること
- パート時給は企業規模1,000人以上が3,687円、10〜99人が2,197円。差は1,490円
- 正社員の年収は10〜99人が最も高い。パートでは順序が完全に逆転する
- 勤務日数も大手のほうが多く、月収の目安では約21万円の開きになる
薬剤師のパート求人は、同じ地域でも時給が1,000円以上ばらつきます。「経験によるものだろう」と考えられがちですが、統計を見るとばらつきの主因は勤務先の企業規模です。
この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から短時間労働者の薬剤師(職種小分類コード1124)を抽出し、企業規模別に時給・勤務日数・月収を集計し直しました。正社員の年収で観測される「中小のほうが高い」という傾向が、パートでは逆転していることが確認できます。
本記事の調査・評価基準
- 調査対象
- 薬剤師(職種小分類コード1124)の短時間労働者、男女計、企業規模10人以上
- 数値の確認日
- 令和5年(2023年)調査
- 評価項目
- 1時間当たり所定内給与額、実労働日数、1日当たり所定内実労働時間数、年間賞与その他特別給与額、労働者数
- 順位の決め方
- 月収は「1時間当たり所定内給与額 × 1日当たり所定内実労働時間数 × 実労働日数」で算出。所定内の金額のため残業代・通勤手当は含まない
- 編集方針
- 当サイトは広告収益で運営していますが、報酬額の多寡は順位に影響させていません。 上記の評価項目のみで順位を決定しています。
企業規模1,000人以上は3,687円、10〜99人は2,197円
まず結論です。
| 企業規模 | 時給 | 実労働日数 | 1日の時間 | 月収の目安 | 労働者数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 3,687円 | 16.2日 | 6.3時間 | 376,295円 | 約10,070人 |
| 100〜999人 | 2,930円 | 13.1日 | 5.8時間 | 222,621円 | 約18,890人 |
| 10〜99人 | 2,197円 | 12.4日 | 6.0時間 | 163,457円 | 約15,580人 |
| 全体平均 | 2,845円 | 13.5日 | 6.0時間 | 230,445円 | 約44,540人 |
時給の差は1,490円です。さらに大手のほうが勤務日数も多いため(16.2日対12.4日)、月収の目安では約21万円の開きになります。
同じ「薬剤師のパート」でも、規模の大きい勤務先を選べるかどうかで年間250万円前後の差が生じる計算です。時給の数字だけを並べて比べる前に、その求人がどの規模の勤務先かを確認する価値があります。
正社員とは順序が逆になっている
この結果が意外なのは、正社員では逆の傾向が出ているからです。
| 企業規模 | 正社員の年収 | パートの時給 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 517.9万円(最下位) | 3,687円(最上位) |
| 100〜999人 | 526.8万円 | 2,930円 |
| 10〜99人 | 617.6万円(最上位) | 2,197円(最下位) |
正社員では10〜99人が617.6万円で最も高く、1,000人以上を約100万円上回ります。パートでは順序が完全に入れ替わります。
正社員の年収データはこちら薬剤師の年収は543万円|40代で下がる理由をデータで検証薬剤師の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から独自に集計しました。年代別に見ると35〜39歳でピークを迎えたあと40代で下がること、企業規模が小さいほど年収が高いことがわかります。理由として整理できるのは次の2点です。
1. 大手は「時間帯を埋める人」に単価を払っている
大手ドラッグストアや大手チェーン薬局は営業時間が長く、朝夕や土日など正社員だけでは埋めきれない時間帯があります。この枠は人手が確保できなければ営業に直接影響するため、時間単価を高く設定してでも埋める必要があります。勤務日数が16.2日と多いのも、単発の穴埋めではなくシフトの一部を継続的に担ってもらう前提だからだと考えられます。
2. 中小は正社員を厚遇するほうに原資を回している
規模の小さい調剤薬局は、知名度や研修制度で大手に見劣りします。人を定着させる手段が給与に偏るため、原資が正社員の年収に向かいます。結果としてパートの時給には回りにくくなります。
つまり正社員として年収を上げたいなら中小、パートとして時給を上げたいなら大手という、規模の選び方が逆になる構造があります。
男女で時給差はほぼない。違うのは日数
もうひとつ確認しておきたいのが男女差です。
| 区分 | 時給 | 実労働日数 | 平均年齢 | 月収の目安 | 労働者数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男性 | 2,840円 | 10.8日 | 62.8歳 | 187,099円 | 約7,340人 |
| 女性 | 2,846円 | 14.1日 | 50.6歳 | 240,772円 | 約37,190人 |
時給の差は6円で、実質的に同水準です。月収の差53,673円は、単価ではなく勤務日数(10.8日対14.1日)から生じています。
平均年齢を見ると、男性は62.8歳で定年後に日数を絞って働く層が中心、女性は50.6歳で家庭と両立しながら常勤に近い日数で働く層が中心と読み取れます。パートの時給は性別ではなく、勤務先の規模と入れる日数で決まるということです。
求人を比べるときの順番
ここまでのデータから、条件を確認する順番は次のようになります。
- 勤務先の企業規模を確認する — 時給差1,490円の主因。大手チェーン・大手ドラッグストアかどうかで水準が変わる
- 入れる日数を先に決める — 統計上の平均は月13.5日(週約3.1日)、1日6.0時間。大手は月16.2日と多め
- 時給×日数×時間で月収に換算してから比べる — 時給が高くても日数が確保できなければ月収は伸びない
- 通勤範囲を広げられるか検討する — 高単価の枠は規模の大きい勤務先に偏るため、範囲を狭めると選択肢が減る
時給の高さと勤務日数の多さが同じ方向を向いているのは大手側です。月収を優先するなら規模を軸に、時間の自由を優先するなら中小規模を軸に探すのが、この統計に沿った選び方になります。
なお、パートの時給が正社員の時間単価と比べてどうかは別の記事で検証しています。
正社員との時間単価の比較はこちら薬剤師の派遣・パートは時給2,845円|正社員より21%高い理由薬剤師の短時間勤務の時給を厚生労働省の統計から集計すると2,845円で、正社員の時給換算2,356円を21%上回ります。賞与を含めて計算し直しても逆転は残ります。数字とトレードオフを検証しました。まとめ
- パート時給は企業規模1,000人以上が3,687円、10〜99人が2,197円。差は1,490円
- 大手は勤務日数も多く(16.2日対12.4日)、月収の目安では約21万円の開き
- 正社員の年収は10〜99人が617.6万円で最も高く、パートとは順序が逆転している
- 男女の時給差は6円。月収差は勤務日数から生じている
正社員のときに有利だった「規模の小さい薬局」は、パートでは不利側に回ります。働き方を変えるときは、勤務先の選び方も入れ替える必要があります。