薬剤師派遣の時給相場|常勤を上回る分岐点は2,744円

薬剤師の派遣時給がいくらなら常勤より得なのかを、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から算出しました。常勤の賞与込み時間単価は2,744円。これを超える時給かどうかが、派遣を選ぶかどうかの判断基準になります。

最終更新 2026年7月27日 公開 2026年7月27日 執筆 編集部

この記事でわかること

  • 常勤薬剤師の賞与込み時間単価は2,744円。派遣時給がこれを超えるかが判断の分岐点
  • 短時間勤務の薬剤師の平均時給は2,845円で、分岐点をわずかに上回る水準
  • 企業規模1,000人以上では3,687円。週4日8時間で月51万円、年収換算615万円になる

派遣薬剤師の時給は「3,000円以上」と紹介されることが多い一方で、その金額が常勤と比べて得なのかは示されません。時給が高く見えても、常勤には賞与と退職金があるからです。

この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から常勤薬剤師の賞与込み時間単価を計算し、派遣時給の損益分岐点を出しました。そのうえで、実際の時給水準と勤務日数から年収を試算します。

先に断っておくこと

賃金構造基本統計調査には「派遣薬剤師」だけを取り出した区分がありません。この記事では短時間労働者(パート・アルバイト・派遣・単発を含む)の薬剤師のデータを、派遣時給を考えるうえでの下限に近い目安として使います。派遣は時間単価が高めに設定される傾向があるため、実際の派遣時給はここに示す数字より高くなることが多い点を踏まえて読んでください。

本記事の調査・評価基準

調査対象
薬剤師(職種小分類コード1124)、一般労働者および短時間労働者、男女計、企業規模10人以上
数値の確認日
令和5年(2023年)調査
評価項目
所定内給与額、所定内実労働時間数、年間賞与その他特別給与額、1時間当たり所定内給与額、実労働日数
順位の決め方
常勤の時間単価は「(所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額)÷(所定内実労働時間数×12)」で算出。残業代・通勤手当は含まない。派遣単独の公的統計が存在しないため、短時間労働者のデータを目安として用いている
編集方針
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基準線は2,744円

常勤薬剤師の年収は543.3万円(所定内給与38.87万円×12+年間賞与76.87万円)、所定内実労働時間は年1,980時間です。

543.3万円 ÷ 1,980時間 = 2,744円

これが、賞与まで含めた常勤の1時間あたりの取り分です。派遣には原則として賞与がないため、提示された時給が2,744円を下回れば、時間あたりの取り分では常勤に負けていることになります。

区分時間単価分岐点との差
企業規模1,000人以上の短時間勤務3,687円+943円
企業規模100〜999人の短時間勤務2,930円+186円
短時間勤務の全国平均2,845円+101円
常勤の賞与込み時間単価(分岐点)2,744円
企業規模10〜99人の短時間勤務2,197円−547円

短時間勤務の平均2,845円は分岐点をわずか101円上回るだけですが、企業規模1,000人以上では3,687円と943円上回ります。規模によって常勤との有利不利が入れ替わるという点が、時給を見るときの前提になります。

この分岐点の算出根拠はこちら薬剤師の派遣・パートは時給2,845円|正社員より21%高い理由薬剤師の短時間勤務の時給を厚生労働省の統計から集計すると2,845円で、正社員の時給換算2,356円を21%上回ります。賞与を含めて計算し直しても逆転は残ります。数字とトレードオフを検証しました。

時給と勤務日数から年収を試算する

時給から年収に換算すると、常勤との比較がはっきりします。1か月を4.345週、1日8時間として計算しました。

時給週3日週4日週5日
2,845円(短時間の平均)月29.7万円/年356万円月39.6万円/年475万円月49.4万円/年593万円
3,000円月31.3万円/年375万円月41.7万円/年501万円月52.1万円/年626万円
3,687円(企業規模1,000人以上)月38.4万円/年461万円月51.3万円/年615万円月64.1万円/年769万円

常勤の平均年収543.3万円と並べると、次のことがわかります。

  • 時給2,845円では週5日働いても593万円で、常勤平均を50万円上回る程度
  • 時給3,000円なら週4日で501万円。常勤より1日少なく働いて、年収は42万円低い
  • 時給3,687円なら週4日で615万円。常勤より1日少なく働いて、年収は72万円高い

時給3,687円・週4日という条件が取れるなら、勤務日数を減らしながら常勤の年収を超えられます。 逆に時給3,000円前後では、週5日働いてようやく常勤を上回る計算です。

なお、この試算には社会保険料や通勤手当の扱いを含んでいません。派遣は通勤手当が時給に含まれる契約もあるため、求人票の時給を比べるときは通勤手当が別途支給かどうかを確認してください。

時給は4年で21.1%上がっている

推移を見ると、この数年で水準が切り上がっています。

2200 2467 2733 3000 2020年:2349円 2349 2020年 2021年:2414円 2021年 2022年:2903円 2903 2022年 2023年:2845円 2845 2023年
薬剤師の短時間勤務の時給推移。2021年から2022年にかけて489円上昇し、その後は2,800円台で推移している。 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より編集部が算出

2020年の2,349円は当時の常勤の水準と比べても高いとは言えませんでしたが、2022年に2,903円まで上がり、常勤の分岐点2,744円を超えました。「時間で働くほうが単価で有利」という状態になったのは、ここ数年の変化だということです。

同じ期間に短時間勤務の薬剤師は33,260人から44,540人へ33.9%増えています。単価が上がったから人が集まったのか、人手が必要だから単価が上がったのかは統計からは判断できませんが、両方が同時に起きていることは確認できます。

あわせて読みたい薬剤師の年収は543万円|40代で下がる理由をデータで検証薬剤師の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から独自に集計しました。年代別に見ると35〜39歳でピークを迎えたあと40代で下がること、企業規模が小さいほど年収が高いことがわかります。

まとめ

  • 常勤薬剤師の賞与込み時間単価は2,744円。派遣時給がこれを超えるかが判断の基準
  • 短時間勤務の平均時給2,845円は、分岐点を101円上回るだけの水準
  • 企業規模1,000人以上では3,687円。週4日8時間で年収換算615万円となり、常勤平均を72万円上回る
  • 時給は2020年2,349円から2023年2,845円へ4年で21.1%上昇している

求人票の時給を見るときは、2,744円という基準線を置いてください。それを下回る案件は、賞与のある常勤と比べて時間あたりの取り分で負けています。

出典

  1. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 短時間労働者_職種_DB1(e-Stat statsDataId 0004008680)
  2. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 一般_職種(小分類)DB(e-Stat statsDataId 0003426315)
  3. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」