薬剤師国家試験の合格率68.49%は平均|新卒と既卒で44.9pt差
薬剤師国家試験の難易度を第111回の実数で確認しました。全体の合格率68.49%は新卒86.25%と既卒41.33%を混ぜた数字で、実態は44.9ポイント開いています。一度落ちたあとの再受験がどれだけ難しいかを示します。
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この記事でわかること
- 第111回の合格率68.49%は、新卒86.25%と既卒41.33%を混ぜた平均。実際には44.9ポイント開いている
- 既卒受験者4,871人のうち合格は2,013人。一度落ちると、次の合格率は5割を切る
- 6年制1期生の第97回は88.31%だった。そこから14年で19.8ポイント下がっている
「薬剤師国家試験の合格率は約70%」という説明は、数字としては正しいものの、受験する立場から見るとほとんど意味がありません。 新卒と既卒でまったく違う試験になっているためです。
この記事では、厚生労働省が公表した第111回(令和8年3月25日発表)の実数から、合格率を新卒・既卒に分けて確認します。あわせて、6年制になってからの推移も並べます。
本記事の調査・評価基準
- 調査対象
- 第111回薬剤師国家試験の受験者12,774人(国立・公立・私立の全大学および受験資格認定者)
- 数値の確認日
- 令和8年3月25日 厚生労働省医薬局公表
- 評価項目
- 受験者数、合格者数、合格率、新卒・既卒の別、設置者(国立・私立)の別
- 順位の決め方
- 厚生労働省が公表した大学別合格者数の総計から、新卒・既卒・その他の区分ごとに編集部が集計した。合格率は公表値をそのまま用いている
- 編集方針
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68.49%は、86.25%と41.33%の平均
第111回の全体像です。
| 区分 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 総計 | 12,774人 | 8,749人 | 68.49% |
| 6年制新卒 | 7,781人 | 6,711人 | 86.25% |
| 6年制既卒 | 4,871人 | 2,013人 | 41.33% |
| その他(旧4年制卒業者・受験資格認定者) | 122人 | 25人 | 20.49% |
新卒86.25%と既卒41.33%で、44.9ポイントの差があります。 全体の68.49%は、この2つを人数比で混ぜた結果にすぎません。
受験者の内訳を見ると、既卒が4,871人と全体の38.1%を占めています。 全体の合格率が7割を切っているのは、この既卒層が平均を押し下げているためです。
一度落ちると、次は5割を切る
この構造から言えることは、はっきりしています。
現役で合格できるかどうかが、そのまま難易度になります。 新卒で受ければ86.25%が通りますが、そこで落ちて既卒として受け直すと41.33%まで下がります。合格率が半分以下になる計算です。
| 設置者 | 全体 | 新卒 | 既卒 |
|---|---|---|---|
| 国立 | 79.41% | 87.85% | 47.22% |
| 私立 | 67.43% | 85.86% | 41.24% |
国立と私立を分けても、この構造は変わりません。新卒での差は2.0ポイント(87.85%と85.86%)しかないのに、既卒では6.0ポイント(47.22%と41.24%)に開きます。
国立の合格率79.41%が私立の67.43%を12ポイント上回るのは、新卒の実力差というより、既卒の割合の違いによるところが大きいことになります。国立は受験者607人のうち既卒が72人(11.9%)ですが、私立は11,762人のうち4,736人(40.3%)です。
なお、この統計は「一度落ちた人がその後どうなったか」を追跡したものではありません。既卒には、複数年にわたって受験している人も含まれます。 個人単位の再挑戦の成否を示す数字ではない点は、そのまま受け取らずに読んでください。
6年制になってから19.8ポイント下がっている
長期の推移も見ておきます。
| 回 | 実施年 | 合格率 |
|---|---|---|
| 第97回 | 2012年 | 88.31%(6年制1期生) |
| 第99回 | 2014年 | 60.84% |
| 第101回 | 2016年 | 76.85% |
| 第103回 | 2018年 | 70.58% |
| 第106回 | 2021年 | 68.66% |
| 第109回 | 2024年 | 68.43% |
| 第110回 | 2025年 | 68.85% |
| 第111回 | 2026年 | 68.49% |
6年制1期生の第97回は88.31%でした。そこから 14年で19.8ポイント下がっています。 ただし直近5年は68〜69%台で安定しており、下げ止まっている状態です。第99回の60.84%のような大きな振れは、近年は起きていません。
受験者数は減っています。第109回の13,585人から第111回の12,774人へ、811人(6.0%)減りました。 合格者数も9,296人から8,749人へ547人減っています。
資格取得後の需給はこちら薬剤師は人口10万対265.8人|42年で2.54倍になった薬剤師の将来性を、届出薬剤師数の42年間の推移と厚生労働省の需給推計から確認しました。人口10万対の薬剤師数は1982年の104.8人から2024年の265.8人へ2.54倍。2045年は需要を最大12.6万人上回る推計です。資格を取ったあとに待っているもの
難易度を判断するうえでは、試験そのものより先の条件も材料になります。
- 資格取得直後(経験0年)の年収は 373.7万円 で、144職種中24位
- ただし経験15年以上では36位まで下がり、伸び率は144職種中78位
- 届出薬剤師の 60.0%は薬局勤務。研究・開発を含む企業は10.4%
- 人口10万対の薬剤師数は1982年の104.8人から2024年の265.8人へ2.54倍に増えている
試験の難易度は下げ止まっている一方で、資格の希少性は下がり続けています。 6年間の課程を経て取る資格である以上、試験の通りやすさだけでなく、この先の条件も含めて見たほうが判断は正確になります。
初任給の位置はこちら薬剤師の初任給は144職種中24位|15年後は36位に落ちる薬剤師の初任給を経験年数0年の年収373.7万円として144職種と並べ直すと24位でした。全職種の中央値296.3万円の1.26倍です。ただし経験15年以上では36位まで下がり、伸び率は144職種中78位にとどまります。 仕事の実像はこちら薬剤師の6割は薬局勤務|向き不向きを4つの数字で見る薬剤師に向いている人を性格ではなく統計から確認しました。届出薬剤師の60.0%は薬局勤務、研究・開発を含む企業は10.4%です。短時間勤務の比率は全職種中央値の2.5倍、残業は月10.0時間という実像をまとめます。まとめ
- 第111回の合格率68.49%は、新卒86.25%と既卒41.33%を混ぜた平均。差は44.9ポイント
- 既卒は受験者の38.1%(4,871人)を占め、全体の合格率を押し下げている
- 新卒での国立・私立の差は2.0ポイントだが、既卒では6.0ポイントに開く
- 6年制1期生の第97回88.31%から14年で19.8ポイント下がったが、直近5年は68〜69%台で安定
- 受験者数は第109回13,585人から第111回12,774人へ6.0%減
難易度を一言で言うなら、**「現役なら通るが、落ちると難しくなる試験」**です。全体の合格率68.49%を自分の見込みとして受け取ると、実態から外れます。