薬剤師は人口10万対265.8人|42年で2.54倍になった

薬剤師の将来性を、届出薬剤師数の42年間の推移と厚生労働省の需給推計から確認しました。人口10万対の薬剤師数は1982年の104.8人から2024年の265.8人へ2.54倍。2045年は需要を最大12.6万人上回る推計です。

最終更新 2026年8月17日 公開 2026年8月17日 執筆 編集部

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この記事でわかること

  • 人口10万人あたりの薬剤師数は1982年の104.8人から2024年の265.8人へ、42年で2.54倍になった
  • 厚生労働省の推計では2045年の供給43.2〜45.8万人に対し需要は33.2〜40.8万人。どの組み合わせでも供給が上回る
  • 2022年から2024年で薬局勤務は3.5%増えた一方、医薬品関係企業は7.8%減、店舗販売業は17.2%減っている

薬剤師の将来性を論じる記事の多くは「AIに代替されるか」という問いから始まります。ただ、資格職の先行きを左右するのは技術より先に人数です。何人いて、これから何人必要とされるのか。ここは推測ではなく統計で確認できます。

この記事では、厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計から42年分の届出薬剤師数を人口比で並べ直し、同省の検討会が出した需給推計と突き合わせました。

本記事の調査・評価基準

調査対象
薬剤師法第9条にもとづく届出薬剤師数(各年12月31日現在)、および厚生労働省検討会による2020年〜2045年の需給推計
数値の確認日
医師・歯科医師・薬剤師統計は令和6年(2024年)調査、需給推計は2021年公表資料
評価項目
届出薬剤師数、人口10万対薬剤師数、施設・業務の種別、需要推計、供給推計
順位の決め方
人口10万対の数値は厚生労働省の公表値をそのまま用い、42年分の推移として編集部が並べ直した。需給推計は仮定条件をおいた試算であり、条件により結果が変わることが資料本文に明記されている
編集方針
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42年で2.54倍になった

届出薬剤師数は2024年時点で 329,045人 です。人口10万人あたりに直すと 265.8人

50 133 217 300 1982年:104.8人 104.8 1982年 1990年:121.9人 2000年:171.3人 2000年 2010年:215.9人 215.9 2018年:246.2人 2018年 2020年:255.2人 2022年:259.1人 2022年 2024年:265.8人 265.8 2024年
人口10万人あたりの薬剤師数の推移。1982年の104.8人から2024年の265.8人まで一貫して増え続けている。 出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」各年より編集部が作成
届出薬剤師数人口10万対
1982年124,390人104.8
1990年150,627人121.9
2000年217,477人171.3
2010年276,517人215.9
2018年311,289人246.2
2020年321,982人255.2
2022年323,690人259.1
2024年329,045人265.8

人口比で2.54倍です。 実数は2.65倍ですが、この間に人口が減っているため、1人の薬剤師が向き合う人口は当時の4割弱まで減った計算になります。

参考までに、2024年の人口10万対は医師280.9人、歯科医師83.7人です。薬剤師の265.8人は医師とほぼ同じ密度に達しています。

2045年、供給が需要を上回る

厚生労働省の検討会が2021年に公表した需給推計では、2020年から2045年までの見通しが4通り示されています。

区分2020年2045年
需要(機械的推計)32.0万人33.2万人
需要(変動要因を考慮)32.0万人40.8万人
供給(毎年一定数増加)32.5万人45.8万人
供給(増加数が減少と仮定)32.5万人43.2万人

需要側に最も有利な組み合わせ(需要40.8万人・供給43.2万人)でも 2.4万人、最も不利な組み合わせ(需要33.2万人・供給45.8万人)では 12.6万人 供給が上回ります。

どの組み合わせを取っても供給超過になる、というのがこの推計の要点です。

背景にあるのは処方箋枚数の頭打ちです。同資料では、薬局が受け取る処方箋は2020年の8.6億枚から2035年の9.5億枚をピークに、2045年には9.3億枚へ戻ると見込まれています。25年かけて8.1%増えるだけの計算です。

伸び幅を並べると差がはっきりします。需要は25年で3.8〜27.5%増にとどまるのに対し、供給は32.9〜40.9%増えるという形です。

ただしこの推計には注記があります。仮定条件をおいた試算であり、条件により結果は変わりうるものだと資料本文に明記されています。また同じ検討会では、現時点では地域偏在により病院を中心に薬剤師が充足していないことにも触れられています。全国合計では余り、特定の地域と業態では足りないという状態が同時に起きているということです。

増えている職域と、減っている職域

もう一段細かく見ると、総数の増加は均等に起きているわけではありません。2022年から2024年の2年間の増減です。

介護保険施設 介護保険施設:11.5% 11.5 % 薬局 薬局:3.5% 3.5 % 大学 大学:2.2% 2.2 % 病院 病院:1.8% 1.8 % 衛生行政機関 衛生行政機関:-0.3% -0.3 % 診療所 診療所:-3.1% -3.1 % 医薬品関係企業 医薬品関係企業:-7.8% -7.8 % 店舗販売業 店舗販売業:-17.2% -17.2 %
施設・業務の種別ごとの薬剤師数の増減率(2022年→2024年)。介護保険施設が最も伸び、店舗販売業が最も減っている。 出典:厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」より編集部が集計
施設・業務の種別2024年構成割合2022年比
薬局の従事者197,437人60.0%+3.5%
 うち勤務者(管理者以外)132,085人40.1%+5.1%
 うち勤務者(管理者)49,537人15.1%+2.5%
医療施設の従事者63,290人19.2%+1.3%
 うち病院57,595人17.5%+1.8%
 うち診療所5,695人1.7%−3.1%
医薬品関係企業34,184人10.4%−7.8%
 うち店舗販売業5,090人1.5%−17.2%
衛生行政機関・保健衛生施設6,906人2.1%−0.3%
大学5,011人1.5%+2.2%
介護保険施設1,217人0.4%+11.5%
無職の者11,975人3.6%±0.0%

読み取れることは3つあります。

1. 増加分のほとんどは薬局が吸収しています。 2年間で総数は5,355人増えましたが、薬局だけで6,702人増えています。つまり薬局以外は合計で減っているということです。

2. 医薬品関係企業が2年で7.8%減りました。 実数で2,902人です。とくに店舗販売業(ドラッグストア等)は17.2%減と、全区分で最大の減少幅になっています。「薬局が合わなければ企業へ」という進路は、統計上は狭くなる方向に動いています。

3. 介護保険施設は11.5%増、うち介護医療院は27.3%増です。 実数は1,217人と小さいものの、伸び率は最も高い区分です。

職域ごとの実像はこちら薬剤師の6割は薬局勤務|向き不向きを4つの数字で見る薬剤師に向いている人を性格ではなく統計から確認しました。届出薬剤師の60.0%は薬局勤務、研究・開発を含む企業は10.4%です。短時間勤務の比率は全職種中央値の2.5倍、残業は月10.0時間という実像をまとめます。

単価はどう動いているか

人数が増えている一方で、賃金がどうなっているかも確認しておきます。

項目2020年2023年
平均年収537.9万円543.3万円+5.4万円(+1.0%)
うち年間賞与92.1万円76.9万円−15.2万円
所定内実労働時間月162時間月165時間+3時間
超過実労働時間(残業)月8.0時間月10.0時間+2.0時間

3年間で年収は1.0%増えていますが、内訳では賞与が15.2万円減り、働く時間は月5時間増えています。 名目の年収がほぼ横ばいのまま、時間と賞与の条件が動いている形です。人数が増える局面で単価が伸びにくくなるのは、需給の説明とも整合します。

なお、この3年間で短時間勤務の薬剤師の時給は2,349円から2,845円へ21.1%上がっています。常勤の条件が伸び悩む一方で、時間単位の働き手の単価は上がっているという、方向の違う2つの動きが同時に起きています。

時給側の動きはこちら薬剤師の時給は2,845円|145職種中14位、経験では上がらない薬剤師の時給を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から145職種すべて並べ直して確認すると2,845円で14位でした。短時間労働者全体の2.01倍ですが、経験0年と15年以上の差は41円しかありません。

将来性をどう見るか

薬剤師という資格が向いている人

  • 全国どこでも通用する資格が要る(地域偏在があるため、供給過剰でも地方や病院には席が残る)
  • 働く時間を自分で決めたい。短時間勤務の時給は3年で21.1%上がっている
  • 在宅医療・介護領域に関心がある。介護保険施設の従事者は2年で11.5%増と最も伸びている
  • 一度離れても戻れる働き方を優先したい

向いていない人

  • 資格を持っているだけで年収が上がり続けることを期待している。人口比はすでに医師と同水準に達している
  • 製薬企業・ドラッグストア本部への転身を前提にしている。医薬品関係企業は2年で7.8%、店舗販売業は17.2%減っている
  • 都市部の薬局勤務のみを想定している。供給が最も厚くなる区分にあたる

需給推計が示すのは「薬剤師が要らなくなる」ことではありません。示しているのは、総数としては余る方向にあり、席の中身が業態ごとに動いているということです。

供給過剰が進む局面で条件が下がりにくいのは、人が集まりにくい区分です。統計上それにあたるのは、公的性格の強い病院(賞与125万円以上)と、地方の勤務先です。

病院と薬局の待遇差はこちら病院薬剤師の年収は581.1万円|薬局より101.7万円高い病院薬剤師の年収を最新の第25回医療経済実態調査で確認しました。一般病院の薬剤師は給料+賞与で581.1万円、保険薬局は479.5万円。「病院は薬局より安い」という通説とは逆で、差の約6割は賞与から生まれています。

まとめ

  • 人口10万対の薬剤師数は1982年104.8人から2024年265.8人へ、42年で2.54倍
  • 2024年の届出薬剤師数は329,045人。医師の人口10万対280.9人とほぼ同じ密度に達している
  • 厚生労働省の推計では2045年の供給43.2〜45.8万人に対し需要は33.2〜40.8万人。どの組み合わせでも供給が上回る
  • 増加分は薬局が吸収している。医薬品関係企業は2年で7.8%減、店舗販売業は17.2%減
  • 伸び率が最も高いのは介護保険施設の11.5%増

将来性の判断材料は「AIに代替されるか」より先に、この人数の動きにあります。総数では余る方向ですが、地域と業態によって席の残り方が違います。

出典

  1. 厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
  2. 厚生労働省「薬剤師需給の将来動向に関する検討会」資料1『薬剤師の需給推計(案)』
  3. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 一般_職種(小分類)DB(e-Stat statsDataId 0003426315)