薬剤師の初任給は144職種中24位|15年後は36位に落ちる

薬剤師の初任給を経験年数0年の年収373.7万円として144職種と並べ直すと24位でした。全職種の中央値296.3万円の1.26倍です。ただし経験15年以上では36位まで下がり、伸び率は144職種中78位にとどまります。

最終更新 2026年8月17日 公開 2026年8月17日 執筆 編集部

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この記事でわかること

  • 経験年数0年の薬剤師の年収は373.7万円。144職種と並べると24位で、全職種の中央値296.3万円の1.26倍
  • 月額は30.68万円、初年度の賞与は5.54万円。賞与が満額出ないため初年度だけ年収が沈む
  • 経験15年以上では36位まで下がる。伸び率66.2%は144職種中78位で、中央値70.3%を下回る

薬剤師の初任給は「他の職種より高い」と説明されることが多い一方で、どのくらい高いのかを職種横断で確かめた記事はほとんどありません。

この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から経験年数0年の年収を144職種すべてで並べ直し、薬剤師の位置を出しました。あわせて、その位置が15年後にどう変わるかも確認します。

本記事の調査・評価基準

調査対象
賃金構造基本統計調査の職種小分類145区分のうち「不詳」を除く144職種。一般労働者、企業規模10人以上、男女計
数値の確認日
令和5年(2023年)調査
評価項目
経験年数0年の所定内給与額、年間賞与その他特別給与額、経験年数15年以上の同項目
順位の決め方
年収は「所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で算出し、144職種を高い順に並べて薬剤師の位置を確認した。順位は編集部が算出したもので、厚生労働省が公表している順位ではない。残業代は含まない
編集方針
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経験0年で373.7万円、144職種中24位

経験年数0年の薬剤師の年収は 373.7万円 です。144職種を高い順に並べると 24位、上位17%に入ります。

区分経験0年の年収
薬剤師373.7万円(24位)
144職種の中央値296.3万円
最高:大学教授(高専含む)870.5万円
最低に近い水準の職種群200万円台前半

中央値296.3万円に対して 1.26倍 です。上位に並ぶのは大学教授870.5万円、管理的職業従事者851.0万円、医師598.5万円といった、そもそも新卒では就けない職種が中心です。新卒で就ける職種に限れば、薬剤師の位置はさらに上がります。

薬剤師の前後に並ぶ職種を見ると、水準感がつかめます。

順位職種経験0年の年収
21機械器具・通信・システム営業職業従事者379.8万円
22獣医師378.4万円
23公認会計士,税理士376.2万円
24薬剤師373.7万円
25ソフトウェア作成者368.0万円
26高等学校教員364.5万円
27秘書364.0万円

公認会計士・税理士(376.2万円)とほぼ同水準で、ソフトウェア作成者(368.0万円)を上回ります。資格職としてのスタート水準は、統計上たしかに高い位置にあります。

初年度だけ年収が沈む理由は賞与

ただし、この373.7万円という数字の中身には注意が必要です。

項目経験0年経験年数計(全体平均)
所定内給与額(月額)30.68万円38.87万円
年間賞与5.54万円76.87万円
年収373.7万円543.3万円
年収に占める賞与の割合1.5%14.2%

経験0年の賞与は5.54万円しかありません。 全体平均76.87万円の7.2%です。賞与は前年1年間の実績を集計するため、入職1年目は支給対象期間が短く、満額が反映されません。

つまり 373.7万円という数字は、月給が低いからではなく賞与が乗っていないから低いということです。月額30.68万円を12か月分に賞与を平年並みに乗せれば、水準はもう一段上がります。実際、経験1〜4年では年収490.5万円まで上がります。

経験年数ごとの推移はこちら薬剤師が正社員で得をし始めるのは経験10年目から薬剤師の正社員とパート・派遣を、賞与まで含めた時間単価に揃えて経験年数別に比べました。正社員が追い越すのは経験10〜14年から。それまでの約10年間は、時間あたりの取り分では短時間勤務のほうが上回っています。

15年後には36位まで下がる

初任給の高さは、そのまま維持されるわけではありません。同じ144職種で、経験15年以上の順位を出しました。

区分経験0年経験15年以上伸び率
薬剤師の年収373.7万円621.0万円+66.2%
144職種中の順位24位36位
144職種の中央値296.3万円515.6万円+70.3%

金額は247.3万円増えていますが、順位は24位から36位へ12下がっています。 伸び率66.2%は144職種の中央値70.3%を下回り、伸び率でみると 144職種中78位 と真ん中より下です。

スタートは上位17%だが、伸びは平均以下。 これが薬剤師の賃金カーブの形です。

医療系の資格職と並べると、この特徴がはっきりします。

歯科医師 歯科医師:276.2% 276.2 % 医師 医師:172.6% 172.6 % 臨床検査技師 臨床検査技師:93.2% 93.2 % 診療放射線技師 診療放射線技師:87.3% 87.3 % 薬剤師 薬剤師:66.2% 66.2 % 看護師 看護師:60.1% 60.1 % 歯科衛生士 歯科衛生士:44.6% 44.6 %
医療系職種の経験0年から15年以上への年収の伸び率。薬剤師は歯科衛生士に次いで低い。 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年より編集部が算出
職種経験0年経験15年以上伸び率
医師598.5万円(5位)1,631.5万円(2位)+172.6%
歯科医師287.4万円(83位)1,081.2万円(6位)+276.2%
薬剤師373.7万円(24位)621.0万円(36位)+66.2%
診療放射線技師314.4万円(56位)588.8万円(43位)+87.3%
臨床検査技師279.3万円(93位)539.7万円(62位)+93.2%
看護師325.9万円(52位)521.9万円(68位)+60.1%
歯科衛生士301.6万円(66位)436.2万円(113位)+44.6%

対照的なのが歯科医師です。経験0年では287.4万円で83位と薬剤師より下ですが、15年以上では1,081.2万円の6位まで上がります。 診療放射線技師と臨床検査技師も、薬剤師より低い位置から始まって順位を上げています。

薬剤師は「初期条件で先行し、後から抜かれる」側にあるというのが、144職種を並べて見えることです。

年代別の推移はこちら薬剤師の年収は543万円|40代で下がる理由をデータで検証薬剤師の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から独自に集計しました。年代別に見ると35〜39歳でピークを迎えたあと40代で下がること、企業規模が小さいほど年収が高いことがわかります。

この形をどう受け取るか

初任給の高さを重視した選択が向いている人

  • 20代のうちに貯蓄や返済を進めたい。中央値の1.26倍の水準が最初から出る
  • 奨学金の返済がある。初年度から月30.68万円の水準が確保できる
  • 早い段階で働く時間を落とす可能性がある。伸びを受け取る前提が要らない
  • 資格を持ったまま職場を移る前提でいる。経験年数は勤務先が変わっても積み上がる

向いていない人

  • 長期的に年収を伸ばすことを最優先している。伸び率66.2%は144職種中78位で中央値以下
  • 「初任給が高い=生涯賃金も高い」と考えている。順位は15年で24位から36位に下がる
  • 成果や実績で報酬を上げたい。年収を動かすのはほぼ経験年数

初任給の高さは事実ですが、その優位は15年かけて縮みます。 年収を伸ばすなら、経験年数以外の要素を足す必要があります。統計上それにあたるのは次の3つです。

  1. 役職に就く。 役職者と役職なしでは145万円の差があります
  2. 業態を選ぶ。 一般病院の薬剤師581.1万円に対し保険薬局は479.5万円で、101.7万円の差があります
  3. 地域を選ぶ。 都道府県別では1位と47位で244.9万円の差があります
業態による差はこちら病院薬剤師の年収は581.1万円|薬局より101.7万円高い病院薬剤師の年収を最新の第25回医療経済実態調査で確認しました。一般病院の薬剤師は給料+賞与で581.1万円、保険薬局は479.5万円。「病院は薬局より安い」という通説とは逆で、差の約6割は賞与から生まれています。

まとめ

  • 経験年数0年の薬剤師の年収は373.7万円で、144職種中24位。中央値296.3万円の1.26倍
  • 月額は30.68万円だが、初年度の賞与は5.54万円しかない。年収が沈んで見えるのは賞与が乗っていないため
  • 経験1〜4年では490.5万円まで上がる
  • 経験15年以上では36位まで下がる。伸び率66.2%は144職種中78位で中央値70.3%を下回る
  • 歯科医師は83位から6位、臨床検査技師は93位から62位へ順位を上げており、薬剤師は追い抜かれる側にある

初任給の高さは統計上たしかですが、それが続く保証は数字に出ていません。 伸ばすなら役職・業態・地域のいずれかを動かす必要があります。

出典

  1. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 一般_職種(小分類)_経験年数階級別DB(e-Stat statsDataId 0003447838)
  2. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和5年 一般_職種(小分類)DB(e-Stat statsDataId 0003426315)
  3. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」