薬剤師の勤続年数は7.9年|144職種中133位という前提
「薬剤師を辞めたい」と感じたときに知っておきたい前提を統計で確認しました。薬剤師の平均勤続年数は7.9年で、比較できる144職種のうち133位。全職種平均より3.9年短く、同じ医療系の他職種よりも短い水準です。
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この記事でわかること
- 薬剤師の平均勤続年数は7.9年。比較できる144職種のうち133位で、全職種平均11.8年より3.9年短い
- 平均年齢は40.3歳。就職から18年ほど経っている計算なので、統計上は多くの人が職場を移っている
- 勤続年数は2020年の8.5年から2023年の7.9年へ0.6年短くなり、同じ期間に残業は月8.0時間から10.0時間へ増えている
「薬剤師を辞めたい」と検索したとき、出てくるのは対処法か転職サービスの紹介がほとんどです。ただ、その前に知っておくと判断が楽になる数字があります。この業界で、人がどのくらいの周期で職場を移っているかです。
この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から薬剤師の平均勤続年数を全144職種と並べ直しました。辞めるべきかどうかの答えは書けませんが、「自分だけが続かないのではないか」という前提が事実かどうかは確認できます。
本記事の調査・評価基準
- 調査対象
- 賃金構造基本統計調査の職種小分類145区分のうち、「不詳」を除く144職種。一般労働者、企業規模10人以上、男女計
- 数値の確認日
- 令和5年(2023年)調査
- 評価項目
- 勤続年数、年齢、超過実労働時間数、所定内給与額、年間賞与その他特別給与額
- 順位の決め方
- e-Statのデータベースから144職種すべての勤続年数を取得し、長い順に並べて薬剤師の位置を確認した。順位は編集部が算出したもので、厚生労働省が公表している順位ではない
- 編集方針
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勤続年数7.9年は、144職種中133位
薬剤師の平均勤続年数は 7.9年 です。144職種を長い順に並べると 133位、下から数えて12番目にあたります。
| 区分 | 勤続年数 |
|---|---|
| 144職種の平均 | 11.8年 |
| 144職種の中央値 | 12.0年 |
| 薬剤師 | 7.9年(133位) |
| 最長:管理的職業従事者 | 21.9年 |
| 最短:事務用機器操作員 | 4.6年 |
平均より 3.9年短い ことになります。ここで言う勤続年数は「いまの勤め先で働いた年数」であり、薬剤師としての経験年数ではありません。資格を持ち続けたまま職場だけを移った場合、勤続年数はリセットされます。
同じ医療系の中でも短い
医療系の資格職どうしで比べると、位置がはっきりします。
| 職種 | 勤続年数 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 診療放射線技師 | 13.4年 | 41.1歳 |
| 准看護師 | 12.6年 | 51.2歳 |
| 臨床検査技師 | 11.9年 | 41.3歳 |
| 看護師 | 9.8年 | 41.9歳 |
| 助産師 | 9.3年 | 40.5歳 |
| 医師 | 8.4年 | 46.1歳 |
| 薬剤師 | 7.9年 | 40.3歳 |
| 保健師 | 6.5年 | 38.6歳 |
注目したいのは薬剤師と診療放射線技師です。平均年齢はほぼ同じ(40.3歳と41.1歳)なのに、勤続年数は5.5年違います。 同じくらいの年数を働いてきた集団でありながら、いまの職場にいる期間だけが短い。これは、薬剤師のほうが職場を移る回数が多いことを意味します。
薬剤師の平均年齢40.3歳は、6年制の課程を出て22〜24歳で就職したとすると、社会人歴およそ17〜18年です。そのうち現在の勤め先での期間が7.9年ということは、平均的な薬剤師は、これまでに1回以上は職場を変えているという計算になります。
この3年で、さらに短くなっている
同じ調査で2020年までさかのぼると、勤続年数は縮む方向に動いています。あわせて他の条件も動いています。
| 項目 | 2020年 | 2023年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 勤続年数 | 8.5年 | 7.9年 | −0.6年 |
| 超過実労働時間数(残業) | 月8.0時間 | 月10.0時間 | +2.0時間 |
| 所定内実労働時間数 | 月162時間 | 月165時間 | +3時間 |
| 年間賞与 | 92.1万円 | 76.9万円 | −15.2万円 |
| 平均年収 | 537.9万円 | 543.3万円 | +5.4万円 |
年収は5.4万円増えていますが、その中身は月給の増加で、賞与は15.2万円減っています。 同時に働く時間は月5時間増えました。年収の見た目が横ばいのまま、時間と賞与の条件が動いていることになります。
勤続年数が短くなった理由をこの統計から特定することはできません。ただ、条件面の変化と同じ方向に動いていることは確認できます。
年収の内訳はこちら薬剤師の年収は543万円|40代で下がる理由をデータで検証薬剤師の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から独自に集計しました。年代別に見ると35〜39歳でピークを迎えたあと40代で下がること、企業規模が小さいほど年収が高いことがわかります。「辞めたい」の中身を分けて考える
統計が示すのは「職場を移る人が多い」ことだけで、移った先で状況が良くなったかどうかは分かりません。 ここは正直に書いておきます。
判断を整理するうえでは、「辞めたい」の対象が何なのかを分けると見通しが立ちます。
職場を変える選択が向いている人
- 不満の対象が、人間関係・勤務シフト・通勤・店舗の運営方針など、勤務先を変えれば入れ替わるものである
- 年収が地域や業態の相場から下振れしている(都道府県で最大244.9万円の差がある)
- 希望する働き方(時短・週休3日・在宅対応)が、いまの勤務先の制度として存在しない
- 管理薬剤師などの役職に就く見込みが、人員構成上ほぼない
向いていない人
- 不満の対象が調剤業務そのもの、または薬剤師という職種の仕事内容である(勤務先を変えても内容は大きく変わらない)
- 体調を崩している状態にある。転職活動そのものが負荷になるため、先に休職・受診を検討する順序になる
- 直近1年以内に転職している。勤続年数が短い状態が続くと、次の選考で説明を求められる場面が増える
薬剤師の職場は、届出ベースで 6割が薬局、17.5%が病院、10.4%が医薬品関係企業 に分かれています。仕事の内容そのものが合わないと感じている場合は、同じ業態の別の勤務先ではなく、業態そのものを変える選択肢のほうが噛み合うことがあります。
業態を変える選択肢のひとつ公務員薬剤師の年収615万円の中身|差はボーナス75.8万円よく見る「公務員薬剤師の年収615万円」は薬剤師単独の数字ではありません。令和6年地方公務員給与実態調査を編集部が団体区分別に組み直し、民間の薬剤師と月額・賞与に分けて比べた結果をまとめます。動くかどうかを決める前に確認できること
勤続年数の統計は「辞めたほうがいい」とは言っていません。示しているのは、職場を移ることがこの職種では例外的な行動ではないという一点だけです。
そのうえで、いま動くかどうかを決める材料としては、次の2つが数字で確認できます。
- いまの年収が相場から下振れしていないか。 薬剤師の平均年収は543.3万円ですが、都道府県別では1位と47位で244.9万円の差があります。地域と業態を揃えて比べないと、下振れかどうかは判断できません。
- 勤務時間が相場からずれていないか。 薬剤師の残業は月10.0時間で、144職種の中央値12時間より少ない水準です。これを大きく超えているなら、職種の標準ではなく勤務先固有の事情である可能性が高くなります。
まとめ
- 薬剤師の平均勤続年数は7.9年。比較できる144職種のうち133位で、全職種平均11.8年より3.9年短い
- 平均年齢40.3歳で勤続7.9年ということは、統計上、平均的な薬剤師はすでに一度は職場を移っている
- 平均年齢がほぼ同じ診療放射線技師(41.1歳)は勤続13.4年で、薬剤師より5.5年長い
- 勤続年数は2020年の8.5年から2023年の7.9年へ短くなり、同じ期間に残業は月2.0時間増え、賞与は15.2万円減っている
「続かないのは自分だけではないか」という前提については、統計上は否定できます。そのうえで動くかどうかは、不満の対象が勤務先にあるのか職種そのものにあるのかで分かれます。