薬剤師の給料を9つの働き方で比較|最大351.7万円の差
薬剤師の給料を、正社員・病院・薬局・管理薬剤師・公務員・派遣まで9つの働き方で並べました。最高は保険薬局の管理薬剤師725.4万円、最低は経験0年の373.7万円で351.7万円の差。調査ごとに定義が違う点も整理します。
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この記事でわかること
- 最も高いのは保険薬局の管理薬剤師725.4万円、最も低いのは経験0年の373.7万円。差は351.7万円
- 同じ「薬剤師の給料」でも、出典によって残業代・賞与の扱いが違う。単純に引き算できない
- 働き方より効く変数もある。都道府県で244.9万円、企業規模で99.7万円の差がある
「薬剤師の給料」を調べると、500万円台から700万円台まで幅のある数字が出てきます。どれも間違いではなく、調べている対象と調査が違うだけです。
この記事では、公的統計から取れる薬剤師の給料を 9つの働き方に分けて1枚に並べました。 あわせて、数字ごとに何が含まれていて何が含まれていないかを明記します。ここを揃えずに比べると、判断を誤ります。
本記事の調査・評価基準
- 調査対象
- 薬剤師の給料に関する3つの公的統計(賃金構造基本統計調査・医療経済実態調査・地方公務員給与実態調査)から取れる区分
- 数値の確認日
- 賃金構造基本統計調査は令和5年(2023年)、医療経済実態調査は第25回(令和6年度)、地方公務員給与実態調査は令和6年
- 評価項目
- 雇用形態、勤務先の業態、役職の有無、経験年数、調査ごとの給与の定義
- 順位の決め方
- 順位ではなく金額の高い順に並べたもの。3つの調査は対象・年次・給与の定義がそれぞれ異なるため、金額どうしを直接引き算しないことを前提に、出典と定義を各行に明記した
- 編集方針
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9つの働き方を金額順に並べる
| 働き方 | 年収 | 出典・年次 | 含まれるもの |
|---|---|---|---|
| 保険薬局の管理薬剤師 | 725.4万円 | 医療経済実態調査 令和6年度 | 給料+賞与(諸手当・残業代を含む) |
| 役職に就いた薬剤師 | 663.9万円 | 賃金構造 令和5年(編集部が逆算) | 所定内給与+賞与 |
| 経験15年以上 | 621.0万円 | 賃金構造 令和5年 | 所定内給与+賞与 |
| 公務員(薬剤師・医療技術職) | 615.3万円 | 地方公務員給与実態調査 令和6年 | 給与月額+期末勤勉手当(残業代を含む) |
| 一般病院勤務 | 581.1万円 | 医療経済実態調査 令和6年度 | 給料+賞与(諸手当・残業代を含む) |
| 正社員の平均 | 543.3万円 | 賃金構造 令和5年 | 所定内給与+賞与 |
| 保険薬局勤務 | 479.5万円 | 医療経済実態調査 令和6年度 | 給料+賞与(諸手当・残業代を含む) |
| 経験0年 | 373.7万円 | 賃金構造 令和5年 | 所定内給与+賞与 |
| 短時間勤務(パート・派遣) | 284.5万円 | 賃金構造 令和5年 | 時給2,845円×平均勤務時間+賞与 |
最高の725.4万円と最低の373.7万円で351.7万円の差があります(短時間勤務は労働時間が半分以下なので、この比較からは外しています)。
数字を並べるときの落とし穴
上の表で最も重要なのは金額ではなく、右2列です。3つの調査は、給与の定義がそれぞれ違います。
| 調査 | 残業代 | 諸手当 | 集計対象 |
|---|---|---|---|
| 賃金構造基本統計調査(所定内給与ベース) | 含まない | 含まない | 一般労働者・短時間労働者 |
| 医療経済実態調査 | 含む | 含む(扶養・役付・通勤手当など) | 常勤職員のみ |
| 地方公務員給与実態調査 | 含む | 含む | 一般職員 |
この違いは小さくありません。賃金構造基本統計調査の薬剤師は、残業代まで入れると543.3万円ではなく 577.9万円 になります。34.6万円の差は、定義の違いだけで生まれます。
つまり「病院581.1万円 − 正社員平均543.3万円 = 37.8万円」という引き算は成立しません。残業代を含む数字と含まない数字を引いているためです。同じ調査の中でだけ比べてください。
もう1点、公務員の615.3万円には注意が必要です。地方公務員給与実態調査の区分は「薬剤師・医療技術職」で、診療放射線技師や臨床検査技師も含まれます。 薬剤師単独の平均ではありません。
公務員の内訳はこちら公務員薬剤師の年収615万円の中身|差はボーナス75.8万円よく見る「公務員薬剤師の年収615万円」は薬剤師単独の数字ではありません。令和6年地方公務員給与実態調査を編集部が団体区分別に組み直し、民間の薬剤師と月額・賞与に分けて比べた結果をまとめます。働き方より効く変数がある
働き方の選択で最大351.7万円動きますが、同じ働き方の中にも同じ規模の差があります。
| 変数 | 高いほう | 低いほう | 差 |
|---|---|---|---|
| 都道府県 | 広島県 675.6万円 | 徳島県 430.7万円 | 244.9万円 |
| 役職の有無 | 役職者 663.9万円 | 役職なし 518.9万円 | 145.0万円 |
| 勤務先の業態 | 一般病院 581.1万円 | 保険薬局 479.5万円 | 101.7万円 |
| 企業規模 | 10〜99人 617.6万円 | 1,000人以上 517.9万円 | 99.7万円 |
| 病院の開設者 | 公立 626.7万円 | 医療法人 539.6万円 | 87.1万円 |
最も大きいのは都道府県の244.9万円です。 業態を変えるより、地域を変えるほうが金額としては大きく動きます。
企業規模は正社員では「小さいほうが高い」という順序ですが、パート時給では逆転します。パートの時給は企業規模1,000人以上が3,687円、10〜99人が2,197円で1,490円の差があり、正社員とは順序が入れ替わります。
都道府県別の一覧はこちら薬剤師の年収が低すぎると感じる理由|都道府県で244万円差「薬剤師の年収は低すぎる」と感じる原因を、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を都道府県別に集計して検証しました。1位の広島県675.6万円と47位の徳島県430.7万円では244.9万円の差があります。 パート時給の規模別はこちら薬剤師パートの時給は勤務先の規模で1,490円違う薬剤師のパート時給を厚生労働省の賃金構造基本統計調査から企業規模別に集計しました。1,000人以上は3,687円、10〜99人は2,197円で1,490円の差。正社員の年収とは逆に、大手のほうが高くなっています。自分の位置を確かめる手順
この表を実際に使うなら、次の順序になります。
- 同じ調査の中で、自分に近い区分を探す。 常勤で病院か薬局なら医療経済実態調査、それ以外は賃金構造基本統計調査が近くなります
- 年齢か経験年数を揃える。 経験0年373.7万円と15年以上621.0万円で247.3万円動くため、平均値と比べても意味がありません
- 地域を揃える。 都道府県で244.9万円の幅があります
- 最後に、残業代が含まれているかを確認する。 自分の年収は残業代込みなので、賃金構造の数字と比べるなら577.9万円のほうが対応します
まとめ
- 最も高いのは保険薬局の管理薬剤師725.4万円、最も低いのは経験0年の373.7万円。差は351.7万円
- 3つの調査は残業代・諸手当の扱いが違う。異なる調査どうしを引き算しない
- 賃金構造基本統計調査の543.3万円は残業代を含まない。含めると577.9万円
- 公務員の615.3万円は「薬剤師・医療技術職」の区分で、薬剤師単独の数字ではない
- 働き方より大きい変数がある。都道府県で244.9万円、役職で145.0万円、業態で101.7万円
給料を比べるときは、金額より先に定義を揃えてください。 出典の違う数字を並べただけの比較は、差が実態より大きくも小さくも出ます。